GUYATONE LG-65T 最も売れたビザールギター ②

前回も触れたようにまず基本仕様から

LG-65T(1963年発売)
2PU(シングルコイル)
リアPU フロントPU
ON/OFF シーソースイッチ
2vol 1tone
solo/rythm スイッチ
ミディアムスケール
20F
指板 ローズウッド
ネック メイプル
ボディ ラワン
塗装 ラッカー
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少しだけLG-65Tの仕様に入る前にかるくLGシリーズの歴史について触れます。

グヤトーンは40年代からハワイアンギターの製作に取り組んでいましたが、
1950年代に創始者の松木三男氏が「レスポール&メリフォード」を耳にした所からソリッドギターの研究が進められました。試行錯誤の結果レスポールの名を取ったLG「レスポール・ギター」シリーズが開発されました。
LGの名の通り50年代のグヤトーンはレスポールに形を寄せたものが主流ですが、50年代後半から60年代にかけてアメリカではエレキインスト、サーフミュージック等が流行りだった影響で60年代からはfenderに寄せたギターが主流になり62年に55,55wが発売され翌年にLG-65Tが発売されました。
更に翌年の64年にはジャガー/ジャズマスターに寄せた130T、fenderともgibsonとも違うオリジナルシェイプの140T、67年にベンチャーズブームにのせたモズライトコピー127Tが発売されました。
やはり現在でも大量生産され最も売れたLG-65Tや130Tやベンチャーズブームで作られた127Tが市場でよく出回っています。
本題に入ります。

 

PU
このLG-65Tのサウンドの要であるPUは前年発売の55,55Wと同じ白いカバーのシングルコイルPUで抵抗値が経験上4.0〜6.0KΩ前後で出力は低めになっています。
サイズは他のPUとはそのまま代替不可能な、幅22mm×長さ74mm×厚21mm
ポールピース幅49mm

ハイがキツめではありますが意外に音も太くP90に近いと言ってしまうと語弊がありますが歪ませて使うと意外に太めな音です。

 

POT,SWITCH
2VOL,1TONEのポットはVOLがA500KΩ×2 TONEがB100KΩでトーンコンデンサは0.02(LG130,140もほぼ同じ)
solo/rhytm切り替えスイッチのコンデンサは0.002が付いていてこのスイッチでローカットしてくれます。

シングルコイルに500KΩを載せる事により更にハイを出やすくしてトーンでは100KΩを載せてその分抑えようとする為に使っているのでしょうか?
ですがLG65Tを弾いた事がある方は分かるかもしれませんが、更にスイッチを切り替える事でキンキンで手がつけられない程の高音域が出るようになります。それに加えて鉄のピックガードがより金属音っぽさを強調して現代のアンプ、シールドでは凶悪なサウンドになっています。

これはあくまで推測ですが当時のGS、サーフミュージックのギターサウンドはチャリンとした音がスタンダードだったようなのでおそらくこういう音を狙ったものなのかと思いますし、フロントをメインに使う事で大分使いやすくなりますし、スイッチの構造上リアのみからフロントのみの切り替えが難しい事からフロントメインで使うのを狙っているのかもしれません。また当時の今と比べるとまだそこまで質の高くないシールドやアンプを使うと良い感じだったのかもしれません。
話は逸れますが個人的にはこのギターをフロントで歪ませた時の低音弦の潰れ方がファズっぽくとても良いので一度は試しに弾いてもらえたらと思っています。

 
木材
ネック材はメイプル、指板はローズウッドで現代でもポピュラーな材が使われていますが、ボディ材は現在ではほぼ使われていないラワンが使われています。ラワン材は当時も安く買える材木で普通に考えると大量生産品だったために選ばれていたと考えられます。軽いラワン材がギターに使われた事により当時の独特なパーツも相まって個性的な音を生み出しているのかもしれません。

 

 

色々推測も交えて述べてきましたが、ひょっとしたらパーツが安く仕入れられたからという理由によるものかもしれませんし、検討違いかもしれないのでご了承下さい。

お店でも今1本在庫があるので近くにお越しの際は良かったら一度試奏してみて下さい!
http://guitarshopb.theshop.jp/items/4454898

次回は現代的に使うためのアイディアやパーツ、代替品について書いていけたらと思います。

※後日追加で他のパーツやオリジナルの配線、写真など載せていきたいと思います。

 

協力 吉川弦楽器工房